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未来を創る力を育てる、コロナ禍を経て地域活動から新たに見えた課題に取り組む―NPO法人 未来創造ハピネス

ソーシャル・ウォーカー


社会課題解決の現場で働く方々からお話を伺い、その内容をインタビュー記事として発信するWebメディア「ソーシャルウォーカー(Social Walker)」。市⺠活動やソーシャルビジネスに焦点を当て、事業内容や背景にある社会課題、行政だけでは課題が解決されない理由などを独自インタビューを基に発信しています。
第8回目は、「NPO法人 未来創造ハピネス」の理事長である西田 敬子さんにお話を伺いました。

時代のニーズによって変わり続ける学びの在り方。グローバル化や技術革新により社会の変化が激しい現代では、学校教育でも「アクティブラーニング」や「STEAM教育」が取り入れられるなど、主体性・創造性を育む教育が行われています。自分の力で未来を切り拓く「創造力」のある人材を育成するために様々な活動に取り組む「NPO法人 未来創造ハピネス」では、昨年9月より「未来創造塾『ハピネス』」を始動し、子どもたちの“創造力”を育てる活動に力を入れています。

団体紹介

名称NPO法人 未来創造ハピネス
公式HPhttps://miraisouzouhappiness.org/
事務所所在地〒810-0022 福岡県福岡市中央区薬院2-4-5-803
問合せ先092-519-0842
事業内容・社会教育の推進を図る活動
・子どもの健全育成を図る活動
・職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
・まちづくりの推進を図る活動
・人権の擁護又は平和の推進を図る活動

今回お話を伺った人

西田 敬子(にしだ きょうこ)さん
NPO法人未来創造ハピネス 理事長
■プロフィール
キャリアコンサルタント・産業カウンセラー/LifeMentor 代表/福岡女学院大学非常勤教員 教職支援センター/福岡市こども未来局青少年健全育成研修講師/一般財団法人「いじめから子供を守ろう!ネットワーク」九州代表/福岡市子ども会育成連合会シニア・ジュニアリーダー育成部長

夫の転勤に伴い、日本全国各地で子育て親子サークルを設立・代表を務め、乳児〜学生までの親子のあり方の指導・相談などの活動を展開。児童心理学・臨床心理学を学び、子どもに関する仕事・ボランティア活動に20年以上従事。

茶道・華道・着付けの講師、イギリスの日本企業の社長秘書の経験を生かしたマナー講座、子ども〜熟年層まで多世代に向けたオリジナル研修を開催。累計相談件数は2000件以上。5児(四男一女)の母。


――西田さん、本日はどうぞよろしくお願いします。

西田さん:よろしくお願いします。

すべての人に、自ら幸せな人生を創っていく“創造力”を


――はじめに、「NPO法人 未来創造ハピネス」の活動概要・活動地域を教えていただけますか。

西田さん:活動地域は、福岡県全域です。立ち上げ当初は講演会やイベント(何でも相談コーナーや苔玉アートなどスタッフの得意を持ち寄った催し)を開催し、来て下さった方の様々な悩み事についてお話を聞いたり、スタッフの人生経験を生かして一緒に考えたりする活動を行っていました。様々な相談を受ける中で、企業から従業員のケアや研修を行って欲しいという要望をいただき、人材育成事業を行ったり、子育て相談の経験から子育て支援事業を行ったりもしています。
 
また、今年度からはフリースクール「チャイルド・ラーニング・センター福大前」と、「未来創造塾『ハピネス』」の運営を行っています。
未来創造塾は、創造力を養い、自分らしい学びを推し進める塾です。子どもとしっかり向き合っていけるよう定員を設けていますので、お越しいただく際には事前に予約をしていただけたらと思います。参加費用については、決まった金額は無く、寄付金を頂いています。

未来創造塾「ハピネス」
開校場所:福岡市中央区 福岡市NPO・ボランティアセンター「あすみん」
開校時間:毎週火曜 17:00〜19:00
参加方法:当日参加も可能ですが、できるだけ事前にご連絡ください
参加費用:無料(運営継続のために任意で寄付をお願いしております)
連絡先 :お電話 092-519-0842 メール miraisouzou.hapipiness@gmail.com



――西田さんが事業を立ち上げるきっかけとなった原体験はございますか。

西田さん:子育て支援などの様々な経験を生かし、幅広い世代に向けた文化教室のようなものを始めたいと考えていたところ、子育てセミナーや「いじめから子供を守ろう!ネットワーク」の活動をきっかけに福岡博多シティライオンズクラブとのご縁があり、NPO法人として現在の活動をしていくことにしました。
また、新たに始めた『未来創造塾』については、地域活動をする中で子どもたちの勉強する姿勢を作ることが難しいとの相談が多く寄せられ、コロナ禍で益々深刻になり、保護者の皆さんも大変困っている状況がありました。今は共働きの家庭がほとんどで、家で勉強をみられる保護者は少ないです。子どもの力だけでは学ぶ力が育たずに保護者からは焦りが感じられ、学ぶ力が弱いので、子どもたちも自分のやりたいことがなかなか思うようにできません。「もっと、勉強の仕方から教えてくれる塾はないだろうか」等の声もあり、なんとか力になれればと、開校を決めました。



主体的に学び、未来を切り拓く創造力を子どもたちへ


――活動の背景には、どのような社会課題が挙げられますか。特に、新しい取り組みの「未来創造塾『ハピネス』」について詳しくお伺いできればと思います。

西田さん:いじめをきっかけとした自殺の問題や、コロナ禍で急増した不登校児童・生徒の問題などがあります。
いじめの問題については、17年ほど前に福岡に移り住んだ頃、中学生でいじめをきっかけとした自殺者がでました。陰湿ないじめはもちろん、そうした状況下での大人の対応に失望してしまうことが自殺へと繋がってしまうので、こうした部分のサポートをする必要があります。いじめ問題は決して子どもの世界の話ではありません。大人たちが問題が起こる前に働きかけること、問題を深刻化させないことが大切です。
コロナ禍で急増した不登校児童・生徒については、オンラインで授業が可能になったため、学校に行かなくても不登校にならなくなったところがあります。学校になんとか通っていた児童・生徒も行かなくなった子が増えています。加えて、イベントなどが減り、人と触れ合う機会が減ったことでコミュニケーションをとる事が苦手な人も急増しました。コロナが5類になり以前のようにイベントも復活してきていますが、オンラインの便利さは残り、家で過ごすことに慣れた人は、外部との交流に消極的なままなところがあります。そして、子どもたちの経験値が下がることで好奇心が育ちづらく、自発的に学ぼうという気持ちが育まれずに自分で勉強する力もついていない子どもが増えています。

――課題の解決にあたり、行政だけでなくNPOなど民間の力が必要になるのはなぜでしょうか。

西田さん:コロナ禍では学校教育のITC化が急激に進みましたが、その環境整備やコロナ対応などで仕事が増えた先生方は長時間労働を強いられ、コロナ禍以前から忙しかった教育現場は回らなくなっています。また、教員希望者の減少により人手不足で余裕も生まれず、行政でもコロナ対応などに追われて子どもの教育の細やかな対応は難しい状況です。
フリースクール事業は、学校に行けない子どもの学習支援を行う場の提供ではありますが、学校で対応できないところの子どもたちのサポートを担う場でもあります。新たに始めた『未来創造塾』は、不登校であるかどうかなどの壁も作らず、誰でも自由に学ぶことができ、きめ細やかなサポートも受けられる場所作りをしています。このような活動は、成果が出ている事例がないと予算を組むのが難しいようで、行政ではすぐに取り組むことは難しいようです。

関わる人々の気持ちを反映できる、細やかな運営を大切に


――活動をする上で最も大切にしていることは何でしょうか。

西田さん:「それぞれが自分で考え、新しいものを創っていく」そうした機会を多くしたいと思っています。塾生だけでなく、保護者・ボランティアの学生・支援してくださる方々・スタッフ・理事、関わる方全ての気持ちを反映できるよう心掛け、ここに集って良かったと思ってもらえる細やかな運営をしていきたいです。
また、『未来創造塾』の運営では、「ここで学びたい」という子どもの意欲を削がないよう、一人一人ときちんと向き合うことを大切にしたいと思っています。理想論は様々ありますが、課題を解決していくためには、まず目の前の人を大事にする必要があると考えています。大人の都合を押し付けるのではなく、子ども本位の運営を行い、子どもたちに「主体性+創造力」を育んでもらいたいです。

――今後の活動方針や新しく取り組みたいことなど、具体的な展望がありましたらお教えください。

西田さん:子育て支援事業では、子育ての相談が増加しており、「子育てのノウハウやポイント等をオンライン配信してほしい」という要望をいただいています。そこで、今後は全国に向けてネット配信をしていきたいと考え、現在準備を行っています。
また、フリースクール事業では、福岡県の補助金申請を行って教材を購入し、更に充実した授業にしていきたいと思っています。加えて、『未来創造塾』は現在毎週火曜日のみの開講になっていますが、学生ボランティアスタッフを増やし、他の曜日も開講できるように段取りをしていきたいと考えています。


「NPO法人 未来創造ハピネス」を支援する方法

西田さん:教材費やボランティアスタッフの交通費などをまかなえるよう、寄附金のご支援をお願いできるとありがたいです。
また、「未来創造塾『ハピネス』」のボランティアスタッフも募集しています。詳しくはお問い合わせいただければ幸いです。

◆学習支援ボランティアスタッフ募集
研修・実践後、チームリーダーには、報酬有。交通費1日実費1,000円まで支給。
応募対象:18歳以上
活動内容:小中学生への学習支援、自立相談のサポートなど
応募方法:miraisouzou.happiness@gmail.com
∟タイトル:未来創造塾スタッフ希望
 ①お名前(フリガナ)、②生年月日、③勤務先又は在籍学校学年等、④連絡先、 ⑤ボランティア又は学習支援経験があれば詳細