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子どもの多様な価値観を広げる“場づくり”、地域交流で顔が見えるまちづくりを目指す―NPO「こどもば」

ソーシャル・ウォーカー

ソーシャルセクターで働く方々からお話を伺いながら、社会課題の世界を散策するインタビュー記事コーナー「ソーシャルウォーカー(Social Walker)」。市⺠活動やソーシャルビジネスを行っている組織の活動をより多くの人にお伝えしていきます。
記念すべき第1回目は、NPO「こどもば」代表理事である横山 誠さんにお話を伺いました。

子どもの多様な価値観を広げる“場づくり”、地域交流で顔が見えるまちづくりを目指す―NPO「こどもば」横山 誠さん

東京都目黒区で地域に根づいた子ども達の居場所づくりに取り組む民間団体「NPO法人 めぐろ子どもの場づくりを考える会 こどもば」。
「こどもば」は2015年の立ち上げ以来、子ども向けに「夏祭り」や「クリスマス会」といったイベントの開催、目黒区では初の「子ども食堂」を始めるなど、様々な子どもの場づくりを考え、活動の幅を広げてきました。

団体紹介

NPO法人めぐろ子どもの場づくりを考える会 こどもば

名称NPO法人 めぐろ子どもの場づくりを考える会 こどもば
公式HPhttps://megurokodomoba.or.jp/
事務所所在地東京都目黒区碑文谷六丁目14番9号
問合せ先(電話)090-4169-2359
(メール)megurokodomoba@gmail.com
事業内容(1)子どもの居場所づくりに関する事業
(2) 子育て支援に関する事業
(3) ボランティアの育成に関する事業
(4) 地域関連団体及び、関連機関との連携、まちづくりに関する協働事業

今回お話を伺った人

横山誠さん

■プロフィール
横山 誠(よこやま まこと)さん
「こどもば」代表理事。保育士。
会社勤務後、青年海外協力隊に水泳指導員として参加。
その後、大田区の私立保育園に12年間、目黒区立上目黒住区センター児童館に非常勤職員として2年間勤務し、地域子ども支援の現場を学ぶ。

2015.7 任意団体めぐろ子どもの場づくりを考える会こどもば設立
2019.5 同団体NPO法人化


その他の地域活動:
めぐろ子ども子育て連絡会代表、めぐろパパネットワーク副代表


――横山さん、本日はどうぞよろしくお願いします。

横山さん:よろしくお願いします。

「遊び場」「子ども食堂」「学習支援」…子どもの多様な価値観を広げる居場所づくり

――はじめに、「こどもば」の活動概要を教えていただいてもよろしいでしょうか。

横山さん:遊び場づくりとしてイベントの開催や、食を通した居場所づくりとして「子ども食堂」の開催などをしています。空間的な居場所に限ったことだけではなく、子ども達が楽しんだり安らげたり、心の拠り所となれるような場や人間関係も創れたら良いなと考え活動をしています。


――子どもの居場所づくりとして様々な取り組みをされていますが、どのような活動からスタートしたのでしょうか。

横山さん:始めは、様々なところに子どもたちの居場所があったら良いなという想いだけで活動をスタートしました。2015年に子どもや子育て世代の居場所づくりとして町会の会館をお借りしての「夏祭り」や「クリスマス会」といったイベントを開催し、2016年には当時徐々に広まっていた「子ども食堂」を開催。その後、遊びや食を通じた居場所以外の場づくりもできたらと、学習支援にも取り組むなど少しずつ活動の幅が広がっていきました。

子ども食堂の風景
最近の子ども食堂の風景。感染症対策も十分に行われています。
子ども食堂の風景


――活動をしていく中で、徐々に取り組みが増えていったのですね。こうした活動を始めようと思われた出来事や原体験のようなものがあったのでしょうか。

横山さん:子どもの居場所づくりが必要であるなと思った出来事としては、以前12年ほど保育士をしていたのですが、卒園児達のその後の様子が気がかりだったことが挙げられます。
卒園後は学童保育サービスなどに移行していくケースが多いですが、当時は今よりも保育サービスの種類が少なく、学童保育に入れなかったり、入れても18時以降は一人で過ごしたりしている子がいました。保育サービスではフォローが難しい部分で、不安や寂しさを感じている子ども達もいるのではないかと思うことがあり、その部分の支援として漠然と地域での子どもの居場所づくりが思い浮かびました。

また、場づくりの活動を通して、比較的生活の場が限られる子ども達の多様な価値観が広がり、幅広い視野を持ってもらえるようになったら良いなという想いもありました。


――従来の保育サービスだけではフォローできない部分に着目されたのですね。活動の一つである「子ども食堂」についてより詳しく教えていただけたらと思います。「みんなの食堂」や「料理教室」についても合わせてお話を伺ってもよろしいでしょうか。

横山さん:食堂の運営についてはニーズを考えながら実施をしていて、子どもとその保護者を対象とした「子ども食堂」を平日の夜に開催、誰でも参加することができる「みんなの食堂」を土曜日の昼に開催しています。「子ども食堂」では、人と囲む食を楽しんでほしいという想いがあります。

「みんなの食堂」を始めたきっかけは、一人ぐらしの高齢者についても気がかりだったことが挙げられます。子どもにとっても、多世代交流ができる場は必要と考え、2018年から開催しています。

「料理体験」については、長期休みに入ると給食がなくなるため、居場所も含めた食の確保ということで、楽しいイベントの一環として始めました。今年の夏には、夏休みの宿題を行ってから食堂を開催したり、食堂の後に工作のワークショップを開催したりもしました。

子ども食堂風景
ハロウィンシーズンに作ったメニュー
子ども食堂の風景
食事だけでなく交流の時間も


――その時々で需要や必要性を考え、食を通じた様々な居場所づくりをされているのですね。続いて、子どもの「遊び場づくり」についても詳しくお聞かせ願えますか。

横山さん:遊び場づくりに関しては、現段階ではスポット的な場づくりではありますが、年に3回行っていて、夏祭り・クリスマス会・公園遊びを開催しています。コロナ禍になり保留状態ですが、いずれ常設的な地域の中にある放課後の居場所としての遊び場づくりもできればと考えています。

活動の背景には子どもの自殺率や行政では対応が難しい課題も

――活動をされる背景には、どのような問題や社会課題が挙げられますか。また、なぜ行政だけではなく民間の力が必要なのでしょうか。

横山さん:様々な問題や社会課題が折り重なっていて、一概に述べることは難しいですが。例えば「孤食」の問題や、子どもの自殺率(※参考データ)の高さでしょうか。親や学校のせいだというのではなく、もっと私たち周りの大人が関わりを持つことも大切なのではないかと考えています。

こうした問題や社会課題を解決するにあたり、行政では対応の難しい「顔の見えるきめ細かい支援」を行うため、民間の力が必要であると思います。草の根レベルのサポートといった踏み込んだ支援は、民間だからこその強みだと考えていて、今後はアウトリーチ(出張支援)活動も関連機関、支援団体などと連携して行う必要もあると考えています。

しかし、行政には行政の強みがあり、例えば個人情報の把握や、資金面での安定的運用などの強みもあります。お互いが強みを生かして連携した支援活動を行えたら良いなと考えていますし、現在すでに他の自治体では社会福祉協議会などと連携をとりアウトリーチ支援をしている団体もあります。


――たしかに、行動力や現場での細やかなサポートは民間の強みですよね。実際に「こどもば」でも他団体や企業との連携もあるのでしょうか。

横山さん:はい。例えば、子育て支援や子ども食堂に取り組む団体とミーティングや勉強会をしたり、共同でイベントに参加して周知活動を行ったりなどしています。

企業との連携事業ということではありませんが、学習支援の活動は組合組織の連合東京様からお話をいただいて、スタートアップのお手伝いをしていただきました。開催場所に関しては、児童館と連携をとりながらやっています。また、近年は企業のCSR活動(地域貢献の活動)が盛んで、子ども食堂などへ社員派遣の依頼をいただく機会が増えています。

大切にしたいのは子ども目線の居場所づくり

――活動を行う上で、最も大切にしていることは何でしょうか。

横山さん:子どもに寄り添う、子どもの気持ちになって考える、ということを大切にしています。子どもの目線で、何を必要としているのか、どんなことが楽しいのかを考え、そこをサポートしていく気持ちで活動しています。また、アットホームな楽しい雰囲気づくりを大切に、また来たいと思ってもらえる場所になるよう心がけています。

運営的な面で言えば、細く長くでいいので、とにかく「継続する」ということを大切にしています。運営に携わる人が入れ替わったとしても、運営自体をストップさせることはないようにしたいです。

こどもば活動風景
地域団体とのサツマイモ畑の草取り体験
こどもば活動風景
みんなで夏休みの宿題に取り組む様子


――今後の展望として、先日ラジオ番組「サステナ*デイズ」内で「えんがわプロジェクト」のお話をされていましたが、具体的なビジョンを伺ってもよろしいでしょうか。

横山さん:「えんがわプロジェクト」は、地域の中に縁側的な場があるといいなという想いがあり、縁側に人が集うように、気軽に立ち寄り過ごすことのできる常設的な場づくりをしたいと考えています。子どもを中心として、世代を問わずに地域の人々が集い、幅広い世代間交流もできるような場所を思い描いています。


――子どもを中心に幅広い世代間で気軽に交流のできる「縁側のような居場所づくり」、素敵なお考えですね。最後に、記事の掲載にあたって特に発信したいニュースなどありましたら教えてください。

横山さん:ニュースではなくお願いのような話ではありますが、いつでも子どもたちを迎えることができる拠点となるような場があれば良いなと思っておりまして、様々な場所での活動も引き続き大切にしたいですが、それにプラスして常設的な場づくりも目指しています。

無償もしくは安価なお家賃で目黒区内の場所をご提供いただける方がおりましたら、ぜひご連絡いただけますと幸いです。私たちの活動に賛同してくださり、可能であれば共に活動をしながら、敷地の一部や、空き家などを継続してご提供くださる方がいらっしゃいましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

「こどもば」に参加・支援する方法

活動スペースを募集中です!
「こどもば」では、いつでも子どもたちを迎えることができる地域の居場所/拠点となる場所を探しております。子どもが10人ぐらいが立ち寄れるスペースがあると嬉しいです。敷地の一部分だけや空き家も大歓迎です。
無償もしくは安価なお家賃で場所をご提供いただける方、上記のような場所にお心当たりのある方は、ぜひ下記にご連絡をお願いいたします。

■問合せ先
(電話)090-4169-2359(メール)megurokodomoba@gmail.com
担当:横山

その他にも、ボランティア、寄付、食材の寄付を募集しております。
ぜひご協力をお願いいたします。



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