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【子どもの貧困】日本では7人に1人が相対的貧困、ひとり親家庭は約50%が相対的貧困の現実

子どもの7人に1人が貧困状態にある。これは他でもない日本国内のお話です。
「貧困」は途上国だけに関係するものではありません。
先進国においても「貧困」は社会課題になっています。貧富の差は確実に存在し、日本においても格差社会が問題となっています。
貧困の種類や原因や様々ですが、日本では近年、子どもの貧困が社会課題の一つとして広く認識されつつあります。
今回は日本における子どもの貧困について、数字を基にお伝えしたいと思います。

子どもの貧困率は約13%、7人に1人が貧困

7人に1人が貧困状態というのは、厚生労働省の統計から読み取ることができます。
厚生労働省が公表している「国民生活基礎調査」によると、日本の子ども(18歳以下)の相対的貧困率は2018年時点で13.5%となっています。
これは日本の子どもの約7人に1人が相対的貧困状態にあることを示しています。
相対的貧困というは、可処分所得が中央値の半分以下にある状態を指しており、子どもの7人に1人はそのような逼迫した経済状況の家庭で暮らしていることになります。
過去の推移を見ると2012年をピークに徐々に低下傾向にありましたが、いずれにしても12~14%前後で推移しており抜本的な解決には至っていません。
また、コロナショックにより2020年以降は貧困率は悪化していることが懸念されます。

出所:国民生活基礎調査(厚労省)を基に当編集部作成

他国と比較しても日本の貧困率は高い

では、他国と比較して13.5%という日本の子どもの貧困率は高いのでしょうか?
OECDによる各国の貧困率の比較(2016年時点)では、日本の貧困率の高さは43ヵ国のうち21番目であり、その平均値よりも高い水準にあります。
この結果から、他国と比較しても日本の子どもの貧困率は高いと言えます。
欧州の福祉先進国では子どもの貧困率が10%を下回っており、特に福祉大国と言われるデンマークやフィンランドでは貧困率が3%台となっています。
日本でも子ども貧困を解決すべく、官民両方で本当に多くの方が日々活動されていますが、他国と比較して改善を必要とする状況だと考えられます。

出所:OECD (2016) Income Distribution Databaseを基に当編集部作成
※2016年もしくは各国の最新統計を使用、可処分所得が中央値の50%以下の家庭で暮らす17歳以下の子どもが対象

ひとり親家庭の貧困率は約50%

ひとり親家庭に絞ってみると、より状況は深刻です。
厚生労働省の調査分析結果によると、ひとり親家庭の約50%が、可処分所得が中央地の半分以下である相対的貧困に陥っているとされています。
2018年調査の貧困線(等価可処分所得の半分)は127万円ですので、ひとり親家庭の半数が127万円以下の可処分所得で生活していることになります。

2018年の世帯当たりの平均所得額を見ると、母子世帯の平均所得は306万円となっており、2019年の調査では母子世帯の31.8%が「貯蓄がない」と回答しており、86.7%が「生活が苦しい」と回答しています。この傾向はコロナショック以降悪化していることが予想されます。

出所:2019年度 国民生活基礎調査(厚労省)を基に当編集部作成

貧困の連鎖を食い止めるのが重要な課題

子どもの貧困の問題点は、それが連鎖することだと言われています。
「貧困家庭等で育った子どもは低学歴・低所得になりやすく、貧困が連鎖する」ということです。
教育環境により学歴格差が生まれ、学歴格差から所得格差が生まれ、それがまた子に引き継がれてしまうという構造的な問題に陥ります。

出所:2019年 子供の貧困対策(内閣府)を基に当編集部作成

この構造の原因は、単に経済的な理由で教育機会に恵まれないというだけでなく、世帯収入が低い家庭では親の意識が学校教育や学外の教育投資に向きづらいということも影響しています。

チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)が公表している「【データで語る日本の教育と子ども】 第6回 「貧困の連鎖」を防ぐには―大学進学をめぐる日本の現状」によると、世帯年収が高いほど「できるだけいい大学に入れるように成績を上げてほしい」と願う親が増える傾向にあり、貧困家庭では、親の意識が教育投資に向きづらいことが分かります。このことが貧困の連鎖の一因となっていると言えます。

また、学歴と年収の関係についても、「2020年 賃金構造基本統計調査」(厚労省)において、学歴と年収には明らかに相関があることが示されており、学校教育に力を入れることは貧困の連鎖を断ち切る一つの道であると言えます。

子どもの貧困は本人だけで解決するのが極めて困難であり、社会の助けが必要

子どもの貧困を本人だけで解決するのが難しいことは、想像に難くないと思います。
もちろん、貧困の原因は様々であり、成人した大人であっても自力で状況を変えるのは難しいことです。
それが未成年の子どもであれば、自力で状況を変えるのはさらに難しくなります。
子ども達の状況を変えるには、社会を構成する国、企業、個人の助けが必要不可欠です。
福祉先進国のデンマークでは、すべての公立校で学費が無料となっており、「子どもは社会が育てるもの」という意識が根付いているそうです。
日本でも子どもの貧困が社会課題として広く認識されつつあるのは、良い流れだと思います。
この記事が、少しでも多くの方にこの課題を知っていただくきっかけになれば幸いです。