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母子家庭の貧困へ支援を|母子家庭における貧困の実態や必要な支援について

今回のコラムでは、相対的貧困家庭への支援について、特に割合の高い「母子家庭」に焦点を当て、母子家庭の貧困の実態や必要とされる支援についてまとめていきたいと思います。

母子家庭における貧困の実態

前回のコラムでは、「絶対的貧困」と「相対的貧困」の違い、また、相対的貧困については、特に“ひとり親家庭”においてその割合が高いことをご紹介しました。
相対的貧困に関する詳細は、こちらからご覧いただけます。

母子家庭における貧困の実態については、厚生労働省が公表している年間収入状況からもその苦しい状況が見て取れます。
『平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告』(2018年11月1日時点調査)によると、父または母自身の平均年間収入は、父子世帯で420万円、母子世帯で243万円と、ひとり親家庭の中でも母子家庭の方が圧倒的に平均収入が低く、より深刻な状況であることが分かります。

出所: 厚生労働省『平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告』

全国ひとり親世帯等調査はおよそ5年の周期で行われており、現在はこちらの結果が最新ですが、同調査は直近で令和3年度(2021年11月1日)に実施されていますので、結果が公表され次第、追って情報を更新していきます。

母子家庭の貧困はコロナ禍で悪化

新型コロナウイルスの影響による収入の減少については、母子家庭に限らず多くの人々にとって問題となりました。このことはニュースでも大々的に取り上げられ、様々な支援策がとられており、周知の事実であると思います。
コロナ禍以前より困窮していた母子家庭において、新型コロナウイルスの影響が与えた貧困状況の悪化は、想像に容易いのではないでしょうか。

シングルマザーを支援している『認定NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ』が実施した「新型コロナウイルスの影響を受けたひとり親世帯からのアンケート」の結果によると、児童扶養手当受給者を対象に、新型コロナウイルスの影響を受けて収入が減少したと回答した人の割合は62%、収入が無くなったと回答した人の割合は11%と、回答者全体のおよそ7割がコロナ禍での収入減少があったことが分かりました。

出所:新型コロナウイルスの影響を受けたひとり親世帯から のアンケートの結果
   認定NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ

この調査結果からも、もともと相対的貧困にあった家庭の状況が、コロナ禍で一層苦しいものとなっている様子がうかがえます。

母子家庭の貧困には支援が必要

今年に入りコロナ規制は徐々に解除され、今では暮らしぶりが少しずつコロナ前に戻ったようにも感じられますが、依然としてコロナ禍であることに変わりはありません。
不況が続く状況にも変化はなく、物価が上がり続けている現在、相対的貧困にある多くの母子家庭が引き続き支援を必要としています。

母子家庭の貧困は、その家庭で育つ子どもの発育や就学・就業状況などにも多大な影響を与え、多くのケースで貧困の連鎖を招くと言われています。このような状況を放置することは、母子だけの問題にとどまらず、社会の成長の妨げとなり、私たちが生きる社会全体の大きな問題でもあるのです。

行政でも困窮する母子家庭に対する施策を講じてはいますが、それだけでは課題解決が難しいのが現状で、多くの支援が必要とされます。母子家庭の支援に尽力する民間団体は多数存在し、ボランティア活動やお金・食料・物資の寄付によって、誰もが支援活動に参加することができます。
中でもお金の寄付は、団体がその使い道を柔軟に決めることができるため効果的であり、おすすめの支援方法です。団体への寄付というと、多額の寄付をイメージされる方もいるのではないかと思いますが、1,000円程度の少額の寄付でも活動をサポートすることが可能です。また、最近ではクレジットカードを使って手軽に寄付ができる団体が増えています。

母子家庭を支援している団体

母子家庭を支援している民間団体について、3つの団体をご紹介します。

■ 認定NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ

HP:https://www.single-mama.com/
”ママが元気になれば子どももしあわせに!
シングルマザーが子どもといっしょに生き生き楽しく生きられるように、ママを勇気づけ、社会で活躍できる支援を行っています。 ー公式HPより

《寄付の用途》
困窮するひとり親家庭への食糧支援。
シングルマザーと子どもたちをサポートする各地団体の支援。
子どもたちへ新入学お祝い金を送金。
⇒詳しくはこちらの寄付ページから

 
 

■ 一般社団法人 日本シングルマザー支援協会

HP:https://xn--qckmb1noc2bzdv147ah7h.com/
”【お金を稼ぐ力を養う】【共感しあえるコミュニティ】【再婚という幸せ】の3つの柱を実現。 ー公式HPより

《寄付の用途》
貧困の連鎖を断ち切るため、「与える支援」ではなく「育てる支援」を実施。
⇒詳しくはこちらの寄付ページから

 
 

■ 一般社団法人ひとり親支援協会

HP:https://skuru.site/assoc/
①ひとり親家庭を 『孤立』 から守る活動、②ひとり親家庭の生活向上にかかる活動をしています。 ー公式HPより

《寄付の用途》
食糧支援。学習支援。アンケート調査など。
⇒詳しくはこちらの寄付ページから

さいごに

母子家庭に限ったことではありませんが、貧困の問題は根が深く、貧困状態から抜け出すことは容易ではありません。しばしば自己責任論も取り沙汰されますが、自己責任では片づけられない側面もあり、多くの支援を必要とします。

コロナ禍では、誰にとっても支援を必要とする時がくる可能性があることを実感された方も多いのではないかと思いますが、支援に頼らなければいけない状況は決して他人事ではなく、「明日はわが身」かもしれないのです。
一人一人が無理のない範囲で支援の輪を広げていくことは、現在困っている人の力になることはもちろん、いずれ身近な人や、ともすると自分自身を助けることがあるかもしれません。

どんなに小さなアクションであったとしても、そこには大きな意義があります。
例えば100円の寄付であっても助かる人が存在しますし、それが集まれば大きな力となり、社会を大きく変えていくことだってできます。
また、寄付活動やボランティア活動に限らず、個々が社会課題について考えたり、その考えを身近な人と共有したり、社会問題や社会課題解決についての情報を発信していくといった些細に思える行動でも、それがきっかけとなって少しずつ社会を変えていくこともあります。誰もが、社会を変える一員になれるのです。

寄付文化が浸透していない日本では、寄付という行動は何となくハードルが高く感じられるかもしれませんが、決してそのようなことはありません。
寄付アドバイザーである河合将生さんは、「寄付とは誰かに想いを託すことであり、そのことに良いも悪いも、成功も失敗もない」と話しています。自身の想いと一致する団体を見つけ、ぜひ気軽に想いを託してみてはいかがでしょうか。

今回の記事が、ご覧くださった方々の何かのアクションに繋がれば幸いです。